2017年11月17日

消去したのに不安が再発してしまう-復元効果


消去したのに不安が再発してしまう



■エクスポージャー法のメカニズム
まずはエクスポージャー法のメカニズムについておさらいです。

刺激と反応は対提示されることによってセットになってしまいます。
セットになってしまった電車と恐怖、運転と不安、会議と不安、身体感覚とパニック、
こうしたセットを切り離す方法がエクスポージャー法です。
エクスポージャーでは不安を喚起する刺激を単独で呈示することです。
恐怖がなくなるまで高い所に行く、不安がなくなるまで電車に乗る、などです。


消去したのに状況が変わると不安が再発してしまう(復元効果)


■消去したはずの不安が再発してしまう
セットになっていた刺激と反応を心理的な治療で消去したとします。
すると刺激を見ても不安や恐怖などの反応がなくなります。

しかし、分脈が変化することによって条件反応が復元されてしまうことがあります
これを復元効果と呼びます。


■なぜ再発する?
復元効果はなぜ生じるのでしょうか?
なぜ消去した条件付けが元に戻るのでしょうか?

せっかく消去した不安反応なのに、状況が変わると不安が出てきてしまいます。

復元効果が生じる原因として考えられている仮説があります。
それは分脈と刺激がセットになって、不安を引き起こしている可能性があるということです。


分脈には体調、景色、気分といったものが含まれます。

例えば、カウンセリングルームでぞうきんに繰り返し触ってもらいます。
そして不潔恐怖を克服したとします。
しかし、会社での大掃除のときにぞうきんを見て不安になり、またぞうきんに触れなくなります。

これは分脈と刺激がセットになっていることが原因として挙げられます。
カウンセリングルームとセットになったぞうきんは消去できていた、
しかし、会社とセットになったぞうきんは消去できていなかった、という可能性です。



■ゴキブリ恐怖の再発
例えば、ゴキブリが非常に苦手な人がいたとしましょう。
そして、寝室でエクスポージャー法を実施します。ゴキブリを呈示し続けます。
するとゴキブリを見た時の恐怖反応が消去されます。

しかし、お風呂でゴキブリを見たときに、消去したはずの恐怖反応が再発してしまいます。

これは、分脈(場所)と刺激(ゴキブリ)がセットになり、恐怖反応を引きだすからだと考えられます。
ということは、状況を変えて不安喚起刺激を呈示しなければならないことになります。

寝室で消去して・・・お風呂で消去して・・・リビングで消去して・・・野外で消去して・・・
さらに分脈は場所だけではなく気分や体調なども含まれす。

そうなると、気分の良いときに消去して・・・気分の悪いときに消去して・・・空腹のときに消去して・・・満腹のときに消去して・・・
ということをしないと完全に恐怖を消去できないかもしれません。


■再発を説明するには他の仮説も
ただし分脈と刺激がセットになるというのは、復元効果を説明する説の一つです。
他にも復元効果を説明する仮説があります。

その仮説についてはまた後ほど。







posted by 心理士さん at 22:22| Comment(0) | 行動心理学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年08月08日

癇癪を起こす子供にどう接すればいい?応用行動分析:ABA

応用行動分析とは?


応用行動分析(ABA)というのは、行動分析を応用し不適応的な行動を減らしたり適応的な行動を増やすことを目的とした行動的技法です。

応用行動分析は、自閉症などの子供の行動変容を目的としてよく用いられます。
また環境調整による販売促進などにも応用されています。

応用行動分析のやり方


応用行動分析(ABA)では、複雑な現象を、A(先行子)B(行動)C(結果)の3つに分けます。
ある状況である行動をするとある結果が得られるということです。

■癇癪を起こす子供の事例
A.ひとりで遊んでいる
B.癇癪を起こす
c.心配して誰かが近寄って来てくれる

子供の癇癪という行動(B)だけに注目するのではなく、
癇癪の前後の状況(AC)を含めて分析していきます。
この場合、ひとりで遊んでいる状況(A:先行子)を無くすか、近寄っていく(C:結果)ことをやめる、
という2通りの支援方法が考えられます。

※癇癪を無くすことが良いことかどうかは不明ですが、癇癪をなくすことを目的にした場合には、
こうした方法が考えられます。

しかし、ひとりで遊んでいる状況を無くすことは現実的に不可能な場合があるため、
C(結果)にアプローチすることになるかもしれません。
つまり、[心配して誰かが近寄ってきてくれる]の代わりに癇癪を強化しない結果をもたらします。
もしくは同じような状況でも癇癪を起さないときに強化するこという支援も考えられます。


■電車に乗れない事例
A.先行子・・電車を思い浮かべる
B.行動・・電車を避ける
C.結果・・不安が起こらない(負の強化)

電車に乗ることを避ける行動をした後、不安が生じないという結果(C)をもたらしています。
そのため、行動が強化されて電車を避け続けるようになります。
これは負の強化によって回避行動をとるようになったと解釈できます。

このように不安が生じるようになるメカニズムは古典的条件付けから説明されますが、
不安が生じないように回避行動をするメカニズムはオペラント条件付けから説明できます。



ステップアップ-先行子について-


少し詳しい話になります。

標的になる行動の直前の刺激のことを先行子といいます。
※先行事象・先行刺激・A・状況など呼び方はいろいろあります。


先行子をさらに分けると弁別刺激確率操作の2つになります。

弁別刺激は、[結果によって強化される行動]の前に存在する先行子です。
きっかけと言うとわかりやすいかもしれません。

確率操作は、行動が生起する確率を高める先行子です。
体調の良し悪し、一緒にいるメンバー、眠気など様々なものが確率操作になり得ます。

例えば、-----------------------------------------
気分が悪いときに(確率操作)、近くで大声を出されると、泣き叫ぶ。
泣き叫ぶと大人が心配してくれる。
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この場合、普段は大きな声を出されて泣き叫ぶことは少なくても、
気分が悪いことによって、大きな声を出されたときに泣き叫ぶ確率が上がっているのかもしません。


まとめ


・応用行動分析(ABA)は行動の増減を目的とした行動的技法
・ABCに分けて分析する
・A(先行子)とC(結果)にアプローチすることで行動(B)の増減を目指す



posted by 心理士さん at 08:00| Comment(0) | 行動心理学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年08月07日

療育で誰もが使っている[応用行動分析]

療育現場で起こる子供の行動問題


発達障害児の療育で欠かせないのが応用行動分析(ABA)です。
応用行動分析のセラピストは子供の様々な行動問題に対応します。


療育では、とりわけ自閉症児やADHD児の行動問題がつきものです。
《トイレに流れないものを流して詰まらせる》
《おもちゃをなげる》
《机をたたく》
《掲示物をやぶく》
《他の子供の髪をひっぱる》
などなどきりがありません。


応用行動分析ではこのような行動問題に対処します。



三項随伴性


応用行動分析では、随伴性の操作による行動の増減を目指します。
随伴性はすでにご存じでしょうか?

例えば---------------------------------------------------
ひとりでポツンといる状況下でオモチャを投げると、「コラ」と周囲の大人が叱ります。
そうすると同じような状況下で同じような問題行動を繰り返すようになります。
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このような一連の流れを単に随伴性とも言いますが、先行事象⇒行動⇒結果の3つの繋がりで考えているので特に三項随伴性と言います。




少し脱線しますが、この事例の場合は「コラ」と叱られることがオモチャを投げる行動を維持していると考えられるので、「コラ」という声かけは報酬と捉えます。

もしかしたら一人でポツンといるよりも、叱られてでも注目されたかったのかもしれません。




非常によくある行動分析の勘違い


ここで行動分析で非常によくある勘違いは「叱ることが罰、褒めることが報酬と考えること」です。
叱る・怒ることは必ずしも罰ではありませんし、褒める・物をあげることが必ずしも報酬ではありません。
行動分析では行動の結果そのものが「報酬だ」「罰だ」とは言いません。

教育や療育現場でしばしばこの勘違いが見られます。
「悪いことをしたら叱るべきだ」と聞くと納得しそうになりますが、
問題行動を減らすのが目的であれば叱ることが逆効果になってしまう危険性があります。


では報酬や罰っていったい何でしょうか?



報酬と罰って?


行動分析(応用行動分析)では、行動を増やす機能をもつ結果を報酬行動を減らす機能を持つ結果を罰と呼びます。


簡単に言うと
叱った後に行動問題が減れば、叱ることは罰だ
叱った後に行動問題が増えれば、叱ることは報酬だ
と考えるということです。



下のページで応用行動分析の入門書として読みやすい本をランキングにしています。
http://behavior-psycho.seesaa.net/article/438008747.html

posted by 心理士さん at 09:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 行動的技法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする