消去したのに不安が再発してしまう
■エクスポージャー法のメカニズム
まずはエクスポージャー法のメカニズムについておさらいです。
刺激と反応は対提示されることによってセットになってしまいます。
セットになってしまった電車と恐怖、運転と不安、会議と不安、身体感覚とパニック、
こうしたセットを切り離す方法がエクスポージャー法です。
エクスポージャーでは不安を喚起する刺激を単独で呈示します。
恐怖がなくなるまで高い所に行く、不安がなくなるまで電車に乗る、などです。
消去したのに状況が変わると不安が再発してしまう(復元効果)
■消去したはずの不安が再発してしまう
セットになっていた刺激と反応を心理的な治療で消去したとします。
すると刺激を見ても不安や恐怖などの反応がなくなります。
しかし、分脈が変化することによって条件反応が復元されてしまうことがあります
これを復元効果と呼びます。
■なぜ再発する?
復元効果はなぜ生じるのでしょうか?
なぜ消去した条件付けが元に戻るのでしょうか?
せっかく消去した不安反応なのに、状況が変わると不安が出てきてしまいます。
復元効果が生じる原因として考えられている仮説があります。
それは分脈と刺激がセットになって、不安を引き起こしている可能性があるということです。
分脈には体調、景色、気分といったものが含まれます。
例えば、カウンセリングルームでぞうきんに繰り返し触ってもらいます。
そして不潔恐怖を克服したとします。
しかし、会社での大掃除のときにぞうきんを見て不安になり、またぞうきんに触れなくなります。
これは分脈と刺激がセットになっていることが原因として挙げられます。
カウンセリングルームとセットになったぞうきんは消去できていた、
しかし、会社とセットになったぞうきんは消去できていなかった、という可能性です。
■ゴキブリ恐怖の再発
例えば、ゴキブリが非常に苦手な人がいたとしましょう。
そして、寝室でエクスポージャー法を実施します。ゴキブリを呈示し続けます。
するとゴキブリを見た時の恐怖反応が消去されます。
しかし、お風呂でゴキブリを見たときに、消去したはずの恐怖反応が再発してしまいます。
これは、分脈(場所)と刺激(ゴキブリ)がセットになり、恐怖反応を引きだすからだと考えられます。
ということは、状況を変えて不安喚起刺激を呈示しなければならないことになります。
寝室で消去して・・・お風呂で消去して・・・リビングで消去して・・・野外で消去して・・・
さらに分脈は場所だけではなく気分や体調なども含まれす。
そうなると、気分の良いときに消去して・・・気分の悪いときに消去して・・・空腹のときに消去して・・・満腹のときに消去して・・・
ということをしないと完全に恐怖を消去できないかもしれません。
■再発を説明するには他の仮説も
ただし分脈と刺激がセットになるというのは、復元効果を説明する説の一つです。
他にも復元効果を説明する仮説があります。
その仮説についてはまた後ほど。