2013年12月01日

恐怖は慣れる―エクスポージャー法―

エクスポージャー法とは?


エクスポージャー法は、行動心理学から生まれた心理療法です。
認知行動療法で用いられるメジャーな技法です。

エクポージャー(exposure)とは、暴露という意味です。
そのため、日本語で暴露療法とも呼ばれます。

エクスポージャー法では、何かに不安や恐怖を感じているクライエントに対して、あえて不安や恐怖の対象・状況に曝す(さらす)ことをします。

エクスポージャー法のメカニズム


S-R連合


ある物や状況に不安や恐怖を感じているクライエントは、
刺激Sと反応Rが連合していると考えられます。
アルバート坊やが白い動物に恐怖を感じるようになったのと同じです。

・大人と話す(刺激S)→→不安を感じる(反応R)
・先生と会う(刺激S)→→体が固まる(反応R)
・蛇を見る(刺激S)→→恐怖する(反応R)

このように、S-R連合が出来上がっていると考えられます。


回避がやめられない


不安・恐怖を感じているクライエントは、その不安や恐怖の対象を回避している場合があります。
たとえば、対人恐怖の人が、人に会うことを極力避けたり、汚いものに恐怖を感じる人は、
ゴミを触らないようにしたり、何回も手を洗ったりして回避したりします。

なぜなら嫌な思いをしなくて済むからです(回避による負の強化=回避条件付け)

エクスポージャー法の考えでは、この回避が不安や恐怖を維持していると考えます。
人は、どれだけ恐怖を感じる状況でも、その恐怖状況に曝されれば慣れていきます
たとえば、不潔なゴミを触ることに恐怖を感じる人でも、ゴミがついたまま1時間手を洗わずにいれば、ゴミがついたときよりも慣れているはずです。
大人が怖くてしゃべれない人が、ずっと大人としゃべっていれば、だんだんと恐怖が弱くなっていきます。

回避させない


そこで、エクスポージャー法では、クライエントがこれまで行ってきたように、不安や恐怖を回避させるのではなく、あえて不安や恐怖に曝すことによって慣れを生じさせます
条件刺激のみを提示することによる消去です。

徐々に暴露する


エクスポージャー法では、不安や恐怖に感じる状況や対象を、段階別に分けます。
そして、不安や恐怖の程度が少ない状況から暴露していきます。
段階に分ける際には、不安階層表と呼ばれるものが使われますが、この不安階層表はエクスポージャー法には欠かせないものです。

段階的に暴露する方法を特に系統的エクスポージャー法と呼びますが、
単にエクスポージャー法と言った場合も段階的なものを指す場合があります。

また、いきなり一番強い刺激に暴露する方法はフラッディングと呼ばれます。
しかし、フラッディング法は動機付けの問題や中断することによって余計に恐怖を感じるようになるなどの副作用があると指摘されることがあります。

エクスポージャー法の効果


エクスポージャー法は、治療効果が認められている心理療法です。
エクスポージャーが効果を発揮するのは主に、不安や恐怖です。
治療効果の認められている心理療法はEBM(Evidence Based Medicine)と呼ばれ、
今後も信頼性のある心理療法としてニーズが高まることが期待できます。



今回説明したエクスポージャー法の内容は、実践的な話というよりは基本的な話でした。
具体的な方法や留意点などは今後ご説明します。



認知行動療法の良本


伊藤先生の認知行動療法教材の中ではDVD 認知行動療法カウンセリング実践ワークショップ CBTの効果的な始め方とケースフォーミュレーションの実際がお気に入りです。
ケースフォーミュレーションや認知行動療法の実践がDVDで視覚的に学べます。
特に見立てが間違っていて認知行動療法をやってもうまくいっているのかうまくいっていないのかわからない、というカウンセラーにはおすすめ。


もう一冊、認知行動療法の実践および入門的な書籍の一つがジュディス・ベック著の認知行動療法実践ガイド:基礎から応用までです。
認知行動療法を実践していく方にはぜひ手元に置いていてほしい一冊です。
実際に認知行動療法を実践する上で「本当にこのやり方でいいの?これが正しいの?」
と感じている心理カウンセラーの疑問に答える本だと思います。

一通り読んで理解した後で、認知行動療法を実践すると読む前とではかなり違ってくるのではないかと思います。

これから実践をしていく人ならこの2冊は持っておくとかなり役に立ちます。



認知行動療法を全く一から勉強したい場合は、大野先生の認知行動療法が入門編といった感じです。
大学院入試/臨床心理士試験の勉強でも使えます。












posted by 心理士さん at 07:30| Comment(0) | 行動的技法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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