2016年08月07日

療育で誰もが使っている[応用行動分析]

療育現場で起こる子供の行動問題


発達障害児の療育で欠かせないのが応用行動分析(ABA)です。
応用行動分析のセラピストは子供の様々な行動問題に対応します。


療育では、とりわけ自閉症児やADHD児の行動問題がつきものです。
《トイレに流れないものを流して詰まらせる》
《おもちゃをなげる》
《机をたたく》
《掲示物をやぶく》
《他の子供の髪をひっぱる》
などなどきりがありません。


応用行動分析ではこのような行動問題に対処します。



三項随伴性


応用行動分析では、随伴性の操作による行動の増減を目指します。
随伴性はすでにご存じでしょうか?

例えば---------------------------------------------------
ひとりでポツンといる状況下でオモチャを投げると、「コラ」と周囲の大人が叱ります。
そうすると同じような状況下で同じような問題行動を繰り返すようになります。
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このような一連の流れを単に随伴性とも言いますが、先行事象⇒行動⇒結果の3つの繋がりで考えているので特に三項随伴性と言います。




少し脱線しますが、この事例の場合は「コラ」と叱られることがオモチャを投げる行動を維持していると考えられるので、「コラ」という声かけは報酬と捉えます。

もしかしたら一人でポツンといるよりも、叱られてでも注目されたかったのかもしれません。




非常によくある行動分析の勘違い


ここで行動分析で非常によくある勘違いは「叱ることが罰、褒めることが報酬と考えること」です。
叱る・怒ることは必ずしも罰ではありませんし、褒める・物をあげることが必ずしも報酬ではありません。
行動分析では行動の結果そのものが「報酬だ」「罰だ」とは言いません。

教育や療育現場でしばしばこの勘違いが見られます。
「悪いことをしたら叱るべきだ」と聞くと納得しそうになりますが、
問題行動を減らすのが目的であれば叱ることが逆効果になってしまう危険性があります。


では報酬や罰っていったい何でしょうか?



報酬と罰って?


行動分析(応用行動分析)では、行動を増やす機能をもつ結果を報酬行動を減らす機能を持つ結果を罰と呼びます。


簡単に言うと
叱った後に行動問題が減れば、叱ることは罰だ
叱った後に行動問題が増えれば、叱ることは報酬だ
と考えるということです。



下のページで応用行動分析の入門書として読みやすい本をランキングにしています。
http://behavior-psycho.seesaa.net/article/438008747.html

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2016年01月24日

PTSDへの持続エクスポージャー 

PTSDへの持続エクスポージャー法のやり方


PTSDへの持続エクスポージャー1を先にお読みください。

Foa(フォア)が提唱したPTSDの持続エクスポージャー療法
はトラウマ体験を想起してもらい、そのときの感情を十分に感じながら語る「想像エクスポージャー」が主な技法です。
「想像エクスポージャー」ではトラウマ体験時の記憶を想起して、詳細に出来事やそのときの感情を言語化していきます


そのほかにも、日常生活で回避していることに直面化する「現実エクスポージャー」や「認知の歪みの再構成」も含まれます。



持続エクスポージャーの注意点1―モチベーション―


持続エクスポージャーの考えではトラウマ記憶の回避がPTSDの原因であると考えられています。
しかし、PTSDのクライエントは意識的にトラウマ記憶を想起することを避けようとします。
持続エクスポージャーではトラウマ記憶を想起させてそのときの感情を感じながら語る「想像エクスポージャー」を行いますが、トラウマ記憶の想起回避が強ければ治療の妨げとなる可能性があります。


このPTSDにみられる特徴は通常の現実エクスポージャーと同様の注意点です。

トラウマ記憶の想起回避は持続エクスポージャーの注意点というよりも、
PTSD治療における困難な点と言う方が正しいかもしれません。


注意点1の対処方法


PTSD患者に持続エクスポージャーを行う場合、心理教育によってPTSDの症状を理解して持続エクスポージャーに取り組むモチベーションを高めることが重要です。

トラウマ記憶の想起を回避をしていることでPTSD症状が慢性化していることを理解して、
トラウマ記憶へ直面化することの重要性の理解を促すように心理教育を行います。



持続エクスポージャーの注意点2―解離症状の有無―


またPTSDに解離症状が伴う場合、トラウマ記憶そのものの存在を否定しています。
解離症状によって記憶が完全に欠落していれば治療に訪れることはないかもしれません。
しかし部分的に記憶を想起している場合には治療に訪れる可能性があります。

解離症状を伴う場合、感情的には全く恐怖を伴わない場合があります。
トラウマ体験について淡々と話していたり恐怖している様子がなければ解離症状が伴っていることが疑われます。


問題点の対処方法


解離症状によって恐怖感情が伴わない場合、
体験時の身体感覚を丁寧に聞いていったり、どのように感じたかを明確にしていくことで、
治療が促進されることが期待できます。



持続エクスポージャーの注意点3―意識の解離―


解離症状が記憶のみではなく意識にまで影響することがあります。
「意識の解離」は解離性人格障害として理解されるものです。
急に冷静になったり感情表現が乏しくなったりする場合は意識が解離しているとも考えられます。
また、「意識障害」によって自分が治療を受けていることや治療を受けに来たこと自体わからなくなることもあります。


注意点3の対処方法


このような「意識の解離」「意識障害」がみられる場合は持続エクスポージャーを中断することが必要になる場合があります。
また、意識障害を呈する場合は、大きな声で話しかけたり手を握ったりすることで、回復する場合があるとのことです。



posted by 心理士さん at 08:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 行動的技法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年11月17日

PTSDへの持続エクスポージャー法1

PTSDへの持続エクスポージャー


Foaらの創始した認知行動療法である持続エクスポージャーがPTSDへの治療方法として注目されています。

米国科学アカデミーでは、PTSDに対する治療法で唯一十分なエビデンスのある治療法とされています。


持続エクスポージャーの治療メカニズム


FoaはPTSDの原因は「トラウマ記憶への回避」であると仮定しています。
そのため治療では回避とは逆の直面化を行うことが必要であると考えます。

持続エクスポージャーの本質は「記憶の想起で傷つくことはないことを体験」することなので、体験を語ることによるカタルシス効果を期待しているわけではありません。
患者は記憶を想起すること自体が傷つくのではないかと感じていると考えられます。
そのため持続エクスポージャーによってトラウマ記憶に直面化して、記憶を想起では傷つくことはないことを体験していきます。

こうしてトラウマ記憶への直面化を行うことによって、
「体験した記憶の順化」「体験した記憶の処理」を促進します。
そして以下に説明するように自然治癒を促します。


PTSDは異常?


PTSDは異常な体験に対する正常な反応であると考えられています。
そのため時間の経過とともに自然に治っていくと考えられます。
PTSDには自然寛解が多く、治療をしていなくても半数から70%程度が自然に回復するとPTSDガイドラインに示されています。


では「PTSDは異常ではないので治療しなくてもよいのか?」という話になりますが、
PTSDの本質は「発症」することではなく「慢性化」することにあります。言い換えれば自然治癒が妨げられていることです。

自然治癒を妨げて、症状を慢性化させている要因は「トラウマ記憶の回避」です。
「トラウマ記憶の回避」がPTSDの自然治癒を妨げているということです。

そのため持続エクスポージャーでは
PTSD症状を慢性化させている「トラウマ記憶の回避」を取り除くことによって自然治癒を促します。


持続エクスポージャー療法の入門書


PTSDの持続エクスポージャー療法はPTSDに対する持続エクスポージャー療法の本です。
著者は持続エクスポージャー療法を考案したFoa(フォア)で、翻訳もわかりやすくなっています。

本の構成は以下の通りです。
第1章 治療者のための基本的情報
第2章 トラウマ体験者の治療における評価方法と注意
第3章 セッション 1
第4章 セッション 2
第5章 セッション 3
第6章 中間セッション
第7章 最終セッション
第8章 患者に応じた問題の予測と治療の修正:効果的な情動的関わりの促進


青年のPTSDに対する持続エクスポージャー療法



posted by 心理士さん at 08:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 行動的技法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする